車高が低いほうがカッコいいですよね? なぜ「クーペ」はオワコン化した? なぜいま「ちょっと復権」?
かつて背の低いクーペ車はメーカーの花形として、さまざまなモデルが各社から販売されていました。しかし2000年代以降は急激に数を減らし、今に至っています。なぜ背の低いクーペは「オワコン」扱いになったのか、改めて整理していきます。
「コスパ」でなく「好き」で買ってもらうには…
ただし、日産は当時のカルロス・ゴーン社長のもと、2000年代に入って「フェアレディZ」の刷新と「GT-R」の復活を実現しています。これは「辛いときこそ“ブランドのシンボル”が必要」という考えによるものだったそうです。
また、クーペやスポーツカーが好きな人が完全に居なくなったわけではありません。トヨタ「GR86」やスバル「BRZ」、MT専用グレードであるホンダ「シビックRS」などを見ても、従来からのファンだけでなく、比較的若いユーザーからも支持されていることがわかります。
こうしたモデルには今なお一定の支持基盤があり、さらにユーザーの熱量も高いと言えます。絶対数は少ないものの、マツダの「ロードスター」が30年以上も継続的に売れているのがいい例です。さらにマツダはロードスターをブランドのアイコンとして捉え、企業CMなどにも積極的に起用しています。
やはりスポーツカーやクーペには、「クルマを、ブランドを好きになってもらう」ためのアピール力があるのでしょう。そもそも、カッコよくて性能のいい製品を好むのは、時代や流行に影響されない消費者の普遍的なマインドです。「安いから」「便利だから」選ぶのではなく、「そのブランドが好きだから」選ばれるのは、メーカーにとって大きな強みになります。
そしてブランドのファンを増やすには、カッコよさと性能の高さが売りのスポーツカーやクーペがうってつけの存在なのです。2000年代以降に日産がフェアレディZやGT-Rを、ホンダが「NSX」を、トヨタがGR GTを開発したのは、そういう意味で理にかなった戦略だといえるでしょう。
ただ、昨今はクルマの価格が高騰し、クルマそのものが若者にとって手を出しづらい存在になってしまいました。昭和の時代を知る筆者(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)のような人間は、「昔はもっと手ごろなスポーティカーがあったのに」と思ってしまうところです。もっと手ごろで、そしてカッコいいクーペが登場すれば、若者を含めた全世代がスポーティなクルマを買いやすくなり、ブランドのファンも確実に増えるでしょう。メーカー各社の“クーペ・スポーツカー復権”の動きに、筆者も期待するばかりです。
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。著書「自動車ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)





クーペ衰退の原因は「運転手だけが楽しいクルマ」と分かったからです。