寝台特急の生き残り「サンライズ瀬戸・出雲」なぜ健在 誕生20年、列車の将来は(写真31枚)

山陽・九州方面のビジネス需要にも対応するダイヤ

「サンライズ瀬戸・出雲」の人気の理由はもうひとつ、使いやすいダイヤ設定にあります。下り列車は東京22時00分発。東海道本線、山陽本線を夜通し走り、翌朝6時27分に岡山に到着します。ここで列車を分割して、「サンライズ瀬戸」は瀬戸大橋を渡り、高松到着は7時27分。「サンライズ出雲」は中国山地を横断して米子、松江に停車。終着駅の出雲市には9時58分に着きます。

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岡山駅で「サンライズ瀬戸」高松行きと「サンライズ出雲」出雲市行きに分割される(2018年4月、杉山淳一撮影)。

 もし、高松に7時台に着きたい場合、東京からは新幹線や航空機の始発便を使っても間に合いません。米子、松江、出雲市は新幹線の始発に乗っても昼過ぎです。飛行機は6時台、7時台の便に乗れば、9時台に到着できます。しかし、羽田空港に6時台に到着できる地域は限られます。前日の最終便に乗り1泊するためには、17時から18時台にオフィスまたは自宅を出発する必要があります。

 東京駅22時発は、オフィスで遅くまで仕事を片付け、食事をして酒を飲んでからちょうど良い時間。旅行好きも自宅で支度をしてから出発するにはちょうど良い時間です。高松では朝早い時間に着き、1日をスタートできます。出雲市到着はちょっと遅めですが、観光地巡りには適した時刻。また、途中駅の米子は9時5分、松江は9時31分に到着。10時からの会議に間に合います。

 さらに、岡山着6時27分も便利です。岡山発6時51分の新幹線「みずほ601号」に乗り継ぐと、広島7時25分着、博多8時28分着、熊本9時2分着、鹿児島中央9時46分着。乗り換え1回で九州へ行けて、朝から稼働できます。

 上り列車の「サンライズ瀬戸」は高松21時26分発、「サンライズ出雲」は出雲市18時51分発です。ふたつの列車は岡山で連結し、東京には翌朝の7時8分に着きます。出雲市発がちょっと早い気がしますが、東京着7時8分は魅力的です。通勤ラッシュ直前に到着して、そのまま出勤できます。旅行先にギリギリまで滞在できますね。

 上り「サンライズ瀬戸・出雲」で見過ごせないところは、深夜の三ノ宮と大阪停車です。三ノ宮発は0時13分、大阪発は0時34分。東京に向かう事実上の最終便です。眠れる時間は少ないとはいえ、この時間帯の移動は新幹線や航空機にはできません。夜行バスは安価ですが、出発が早く、到着はやや遅くなります。それに比べて上り「サンライズ」は速く、定時性でも有利。「ノビノビ座席」利用者に人気のある区間です。

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コメント

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9件のコメント

  1. 松山延長運転の頃に一度だけ横浜から伊予北条まで乗りましたが、以降は何れの区間でも寝台券が取りにくいので廃止同然の感覚の列車ですね
    個人的には客車寝台の出雲で城崎温泉に旅行した時は客車で十分と思いましたが

  2. 機関車けん引は名古屋の会社が嫌いますよ。
    電車でないとね。
    サンライズは名古屋の会社で2編成こさえてるんだからね。

  3. 客が乗ってるのは下り出雲のみで上り出雲と瀬戸の上下はペイライン割ってるのはここの記事を読む層なら誰でも知ってる話だと思うんだけど?(通常期・閑散期の話)
    あとノビノビ座席はミニサロンで騒ぐ連中がうざいので要らない。
    それと複雑な料金体系とか誰得だよ。
    今のへっぽこみどりの窓口の係員に発券出来る訳が無い。
    往復乗車券とサンライズの特急・寝台券の発行に10分以上かかるようなレベルの人ばっかりだぞ。
    ちなみに往復券ではなく周遊きっぷの頃はギブアップして先達係員呼び出して都合30分かかったよ・・・

    • 18年で15回乗ってますが、今のシンプルな料金体系なら発券に5分以上かかったことはないので、窓口の担当の引きが悪かっただけでは。
      シングル/ソロ/DXシングルの空き全部調べて個室位置指定して、岡山からの新幹線(幹在乗継割引)と往復乗車券発券しても5分程度ででやってくれます。
      通常期でも週末や金曜日は瀬戸・出雲とも満席が多く、何度か粘ってようやく取れることも。昔よりは取りにくくなってきました。平日は余裕ですが…
      ただどれだけ乗ってても赤字というのは確かに周知の事実で、週末料金を設定してもう少し高くしても良いかと。複雑な料金体系は私も反対です。

  4. 前提として、サンライズが登場した時代って、「一昔前は夜行列車で出張が当たり前」だった。そこで旅客の流れをもう一度鉄道へ戻そうというある種の実験として計画されたのがサンライズ。
    私は後継車両は作られないと思う。なぜなら実験の結果、結論として夜行列車廃止の動きに流れたから。鉄道への回帰如何以上に高コストだし、そのスジで貨物を走られせた方が会社としても社会的にもハッピーだろうし。
    勿論今さら旅客は夜行移動には戻らない。なぜなら現代じゃ計画当時と違って夜行移動自体が普通のものじゃなくなってるから。或いはそういう文化自体がなくなってるとも。
    90年代のJRって色々面白いことやってたんだよね。ある意味ではJRがまだ非上場だったからできた芸当なのかも。

    • 違う。夜行高速バスは既に当たり前の存在。夜行移動は普通に残っている。「夜行“列車での“移動自体が・・・」なら正しい。

      費用と快適性と利便性(速さだけでなく乗降地とか)のバランスが大切。しかしサンライズ以前の多くの夜行列車は、快適性(改造しててもベースはオンボロ車両で、内壁もチープ)や利便性(必ずしも各都市の中心地ではない、駅にしか行けない)で劣っていた。費用(料金)はもちろんバスに負けてる。これでは一部の愛好家向け以外では勝てるわけないから、廃れたと思う。

      ちなみに以前乗ったサンライズのシングルツインは、在来線にしては速くて、個室で木質内装なのは良かったが、真下の台車からのジョイント音がうるさくてあまり眠れなかった(快適性が必ずしも高くはなかった)。

  5. これに乗って出張に行った事有るけど
    社内販売無いので弁当買い忘れると朝までひもじい思いをするし
    シャワーの時間制限が微妙で温まる気が全然しなかったし
    何故か100Vコンセントが刺さらずノーパソの充電出来なかったし
    寝不足で翌日ふらふら...結局仕事になりゃしない

    ホテルなら最悪部屋チェンジ出来るけど列車はそうはいかない
    無理にでも時間作って前泊した方が100倍良い

  6. 飛行機とホテル、高速バスばかりでない旅行の手段があっても良いはずです。
    高速バスや夜行スキーバスと違って体を伸ばせるし、事故の発生率も格段に低いでしょう。 
    飛行機も連絡の乗り物も乗っている時間が短すぎて、熟睡はできない。
    所要時間が8時間くらいあれば十分な睡眠がとれます。
    しかも、サンライズエクスプレスのソロ以上のクラスならばプライバシーも保たれます。
    採算性を気にするのならば毎日の運行でなくて、週2往復ならば1編成だけでも済みます。
    機関車が客車を引っ張るのでなく電車なのでスピードアップの可能なので、今後上野~札幌間に新世代のサンライズエクスプレスが13時間(終着朝9時)位で運行されれば、一定数のニーズは維持できると思います。

  7. 了様、杉山様ありがとうございます。夜行列車も本当に少なくなりましたね。事実JR各社でも夜行運行については鉄道(JR本体)からバス(JRバス各社)に移行しつつありますからね。さらに一部のJR旅客鉄道ではクルーズトレインたる新たなる観光仕様の寝台列車を運行しており、実際に各社で旅行商品として販売しておりますから今後、寝台列車の概念は変わるかも知れませんね。夜行での単なる移動はもうバスにおまかせになりそうですね❤️。了様❤️、杉山様❤️